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性的パートナー求む。(75歳男性)
 先回は老人問題、特に金銭的なことに触れたけれど、今回は老人の生き方、みたいなのに触れてみようかしら。
 私の住んでいる国もご多分に漏れず、老人の長生き世界第4位とかになってるのよ。この国に来たときに凄く驚いたのね。それは沢山の老人が凄く明るい服装をして町を歩いているのよ。 日本にいたときには道が狭い所為なのか、お年寄りは家の中にいることが多いでしょう。それにこの国は身障者やお年寄りが普通の人と同じように町を出歩けるように道路の整備が行き届いてるのね。その点、日本は21世紀になった今でも、お粗末限りないわよね。
 それにもう一つ驚いたのが、新聞に日本で言う求人欄みたいな所ね、そこに男女交際の募集コーナーがあるのよ。「当方65歳の男性、健康良好。60歳くらいの音楽鑑賞好きな女性求む。食事をして音楽会に行ったりすることを共に楽しみたい」何て書いてあったり、もっと直接的なのもあるのよ。「72歳の健康なる男性、72歳以下の女性ならOK、性的パートナーを求めてる」何てのも堂々と載っているのね。
 もちろん女性から男性を募集している場合も多いのよ。女性の方が色々条件が多いけれどね。たまにホモセクシャルやバイセクシャルの人もいるわよ。でも彼らは貸間、用はシェア・メイトの募集の方に広告を載せる事も多いわね。
 日本では新聞広告の欄で、あからさまにお相手を募集しているのは、みたこと無いわよね。でも実際問題として、65歳とか75歳くらいになると連れ合いに先立たれたり、離婚したりして、一人になってしまう事って有るでしょう。
若い内は蛍のお尻に明かりが灯るように、フェロモンが一杯出ているから、それに引かれて、誰かしら自然にお相手が出てくるものなのよね。
 ところがお尻の明かりも細々としちゃってるか、消えてるかして、フェロモンの匂いなんて側に寄って一生懸命嗅いだって、「これ何の匂い」何て言われるくらい衰えてるようになっては、「何処でどうしてお相手見つけたら良いんだろう」って感じよね。幾つになっても、天才的にお相手見つける人もいるけれど、それってやっぱり才能何じゃないかな。
 普通の人が、子供達も独立して、お相手にも先立たれて、これから迎える人生「一人で生きてく程精神的に強くない」と言う人は、若者のようにパブやクラブでお相手捜したって、絶対と言って良いくらい自分と一緒に死を迎える時を覚悟してくれるような相手には巡り会えないわよね。
 老人が、人様の世話をあてにしないで生きて行ける心の支えって、やっぱり人を愛するって事じゃないかな。人を愛するって事は、心が豊かになれるのよね。
 でももっと大事なのは恋をすることじゃないかしらね。恋をすると身体の中の様々なホルモンが沢山出てくるのよね。若返るのよ。心が若返るって事は、肉体的にも若返ってくるのね。どのみちこれからの老人は長生きしちゃうのだから、老人らしい素晴らしい恋をすると良いのよ。
 若者の真似して、電車の中でいちゃいちゃするのは駄目よ。ただただ、不潔な感じがするだけで、誰も祝福してはくれないわよ。みんなから「本当に良かったね」と言われるようなパートナーと出逢えるのが良いのよね。
 でもそれを自助努力でしろって言ったって、チャンスってものがなくなるんだからムリよね。
 日本人も若者の合コンにばかり力を入れてないで、老人のネルトンもどんどんすると良いのよ。
 結婚することが、老人の唯一の幸せじゃないと思うけれど…。結婚なんて煩わしい事しなくても、時を一緒に過ごせるパートナーがいれば、ひとりぼっちより楽しいと思うのね。お互いの意思がぴったり合えば、どんな形の恋でも良いと思うのよ。世間がそれを認めて上げればね。
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